ゴースタ特別編 〜イラン遠征2007〜

2007.9.19 アジアチャンピオンズリーグ2007 準々決勝第1戦
セパハン(イラン) vs 川崎フロンターレ(日本)


アジアチャンピオンズリーグ(ACL)もいよいよ決勝トーナメントがスタート!
浦和レッズと共にJリーグ勢初の決勝トーナメント進出を果たした我が川崎フロンターレは
準々決勝にてイランの強豪・セパハンと対戦。

その大事な第1戦の舞台は、
イランの首都テヘランから南に330kmの場所にあるセパハンの本拠地・イスファハン。
この「ゴースタ特別編 〜イラン遠征2007〜」では、
日本から実に約8000km離れたペルシャの古都イスファハンへ
川崎から遠征したサポーターの様子をレポートします!

  サポーターが続々と集合

夕刻の羽田空港。イラン遠征ツアーに参加するサポーターが続々と集まってきました。

今回の遠征ツアーは、川崎華族をはじめ、BLUESTAR・川崎深南・乾坤一旗の各応援グループから参加者を募り企画された「川崎フロンターレ応援団連合ツアー」。夜の出発とあって、みんな出発前からテンション高めです。

一行はまず羽田から関西国際空港へ。そこで国際便に乗り継ぎ、中東の玄関口・アラブ首長国連邦(UAE)のドバイまでひとっ飛び!
  ドバイに到着

ドバイに到着間際の機内から見えたのは、砂漠の中にぼんやり浮かび上がる都市の夜景。独特な感じが絶景です。さすがのコボリも興奮気味

そして現地時間早朝、ドバイ国際空港に到着!
テヘラン行きの飛行機の出発時間までは半日もあるため、一行はいったんUAEに入国し、ドバイ市内で暇をつぶすことに。

ところで暑さはというと、建物の中は冷房がギンギンに効いていて涼しいけど、1歩屋外に出たら物凄く暑い!湿度も高くて不快指数100%!
  近未来都市ドバイ

一行はワゴン車をチャーターし、ドバイ市内へ出発
ご存知の通り、ドバイはアラブの異国情緒と富が融合した近未来都市。これでもかとばかり乱立する超高層ビル群に圧倒されること暫し。

まず一行が向かったのは富の象徴「バージ・アル・アラブ」。海に浮かぶ高さ321メートルの豪華絢爛な超高級ホテル。いやはや圧巻ですね。コボリ特派員も動揺を隠せない模様。

そして市街地から離れ、郊外に出ると灼熱の砂漠が待っています。
  イスラムの掟 〜ラマダン(断食月)〜

今回はちょうどイスラム暦のラマダンにあたる時期。ラマダンとは、日の出から日没まで一切の飲食を絶つイスラム教ならではの宗教的な期間のこと。そのためほとんどの飲食店は昼間は店を閉めているのだそうです。

でも我々日本人には「そんなの関係ない!」ってことで、一行はホテルのレストランを間借りして、ケンタッキーの特別デリバリで空腹を凌ぐことに。
食事の様子が外から見えないようにカーテンが締められたレストランはなんだか異様でしたね…。
  恐るべしオイルマネー

ドバイ市内はビルの建設ラッシュ。街の至るところでクレーンがフル稼働。海を埋め立てた豪華リゾート、街中心部には超高層ホテル、そして新たな鉄道まで…。恐るべしオイルマネー。

最後はアラブ人になりきってショッピングも堪能するなど、半日間のアラビアンリゾートを満喫した一行は、ドバイ国際空港から一路テヘランへ。

いよいよイランに入国だ!
  テヘランに到着

現地時間21時、イランの首都テヘランのエマーム・ホメイニ国際空港に降り立ったサポーター。さぁ、いよいよやって来ました!未知の国・イランです!

今回のイラン滞在で我々のガイドをしてくれたのは、日本語が達者なイラン人・マンスリーさん。語呂が似ているからか、いつの間にかサポーターからは「ムラスギさん」と呼ばれていましたが、実は日本人観光客に大人気のカリスマ的なガイドさんなのです!
  陸路でイスファハンへ

いざ決戦の地・イスファハンへ!

ここテヘランからはVOLVO社製の最新バスをドライバー親子付きでチャーター。定員49人なので車内はゆったり。これでイスファハン往復の長距離移動も快適です。

とはいえ、ここまでの2日間に及ぶ8000kmの大移動に、さすがにみんなお疲れ気味。イラン入国時の興奮も一瞬で冷め、バス車中はあっという間に爆睡モードに。
  イスファハン到着

バスに揺られること、実におよそ5時間。
現地時間は深夜2時過ぎ、ようやく最終目的地イスファハンに到着しました!

ここが今回お世話になるホテル「イスファハン・ホテル」。
寝ぼけ眼の一行はそそくさとホテルの中へ。
  安宿だけどこれで十分

我々にあてがわれた部屋はツインルーム。
安宿と聞いていたけど、テレビもあるし、ちゃんとお湯の出るシャワーもあるし、我々にはこれで十分ですね。

気が付けばもうこんな時間、早く寝ようっと。

決戦はもう明日。
現地時間18時30分キックオフ。
  イランの街

活気付く朝のイスファハン市街。
歩道に行き交う人・人・人…。車道に眼を移すと、無秩序に車線変更を繰り返す古めかしい自動車、ノーヘル3人乗りも当たり前のバイク。交差点の出合いがしらに急ブレーキをかけても「ごめんごめん」で済んでしまうのどかな世界。

老人を敬い、物は大切に使う…。日本人にとっては懐かしい古き良き時代にタイムスリップしたような…イランの街はそんな印象でした。
  エマーム広場

午前中は世界遺産としても名高いエマーム広場を訪問

「イスファハンは世界の半分」とはよく言ったもの、建物すべてが精巧な工芸品のようなモスクの美しさに溜め息が漏れるばかり。イスラム芸術って、豪華だけど派手じゃない、そんな奥ゆかしさがいいんだよね…。
  いざスタジアムへ出発!

偉大な世界遺産を訪問し気分もすっかり高まってきた一行は、ガイドが紹介してくれたラマダンでも営業しているレストランにて決戦前の腹ごしらえ。イランでの食事の定番はやっぱりケバブ。おいしいよ!

そして現地時間15時、満を持してスタジアムへ!
スタジアムやその周辺には売店なんか存在しないとのことで、出発直前にはトラックを横付けさせてミネラルウォーターを大人買い。

よーし、これで準備万端!いざ出発!
  応援日和

今回決戦の舞台となるのは、イスファハン郊外にあるフーラド・シャハール・スタジアム。市の中心部から車で30分程かかるとのことで、一行はチャーターしていたバスでそのまま乗り込みます。

天気がいいので気温が高そうですが、空気が乾燥してるからか、暑さはそんなに感じません。これで夜、気温がもう少し下がれば、絶好の応援日和かも。
  セパハンサポーター現わる!

スタジアムが近付く頃、突如現れたセパハンサポーター。仲間たちで車に乗り合わせてこれからスタジアムに向かうのか、気合いの入った野郎共がギューギューに乗り込んでいます(笑)。

隣を走るバスが川崎サポーターを乗せていると気付くや、同じ匂いを感じ取ったのか、無茶な挑発をガンガン繰り返してきます。
  スタジアムに着く頃には…

いつの間にか、黄色いシャツに身を包んだ多くのセパハンサポーターが我々のバスを取り囲むように車やバイクで併走してました(笑)。

さぁ、盛り上がってまいりました!
予想通りの展開に、我々サポーターのテンションもあっという間に最高潮!(笑)
  スタジアムに到着!

そんなこんなでスタジアムに到着!

バスから降りて最初に目に入ってきたのは、スタジアム正面に掲げられたイラン政治家の肖像画。そして我々の到着を受けて動きが慌しくなる警官だか軍人だかの集団。この物々しい雰囲気、これがイランなんですね!
  軍人さんに囲まれながら

一行は期待と不安に胸躍らせながら恐る恐る入場ゲートへ。たくさんの軍人さんに睨まれつつも、持ち物チェックもチケット確認もなく、そのまま入場。

我々が入場するや否や、早々とバックスタンドに陣取っていたセパハンサポーターからは強烈なブーイング。まだ今は人数は少ないようですが、試合が始まる頃には超満員が予想されているとのこと。究極のアウェイにもうワクワクです!
  フーラド・シャハール・スタジアム

1万5千人収容のサッカー専用スタジアム。
荒涼とした茶色の大地に囲まれながらも、芝生の緑が眩しい素晴らしいスタジアムです。あ、やっぱりピッチの横幅が長い…。

メインスタンドアウェイ側半分が日本人サポーター専用となるとの知らせを受け、着々と応援準備を始めるサポーター。等々力から移設した拠点「イスファハン臨時本部」も無事設営完了!

まもなくして他の応援ツアーのサポーターも続々と合流。もちろん、今回イランに来られなかったサポーターから預かってきた魂もここにあるぜ!
  スタジアムに女性は入れない!?

スタジアムに続々集まってくるイラン人の観衆は男性ばかり。それもそのはず、イランでは女性がスタジアムで男性のスポーツを観戦することは法律で禁止されているのです。そこで今回は日本人に限った特別措置により、女性の入場を許可してもらえたはずでした…。

…が、しかし!
なんとセパハン側がイラン政府への許可申請を怠っていたらしく、日本から来た女性サポーターの入場をイラン警察が断固拒否しているとのこと!
駐車場のバスの前から不安そうにスタジアムを見つめる女性サポーターたち。映画で観た「オフサイドガールズ」とまったく同じ状況が現実世界でも…!?。
  危機一髪!

各方面の担当者による尽力もあり、イラン人サポーターを刺激しないことを条件に、ようやくスタジアム入場の許可が下りた日本人女性サポーター。いったん駐車場のバスの中で待機した上で、試合開始直前に目立たないようにスタジアムへ入場。

無事に合流できてホントよかった!
ここはイラン、常識が全く通用しない国なんだ、とあらためて思った瞬間でした。
  次なるトラブル発生!

今度は日本人サポーター専用出入り口の動線として確保されていた緩衝地帯の警備ラインが決壊!我先にとばかり、より良い観戦場所を求めて緩衝地帯に雪崩れ込むイラン人サポーター

その結果、我々がいるフロンターレ応援席は完全に孤立無援状態に。
「これじゃトイレにも行けないぞ!」
仕方なくサポーターはメインスタンド裏のトイレを特別に使用させてもらうことに。しかも時間を決めてグループで行くことを余儀なくされてしまいました…(涙)。
  さぁ、キックオフ!

我々を包囲するように超満員に膨れ上がったスタジアム。ほどなくして、スタジアムが一体となったセパハンサポーターの応援も始まりました!

さぁ、いよいよ試合開始です!
現地時間18時30分、決戦のキックオフ!
  どかーん!

試合中、大きな爆発音とともにピッチから煙が!
どうやらセパハンサポーターがピッチに投げ込んだ手投げ弾が炸裂した模様。

選手に怪我が無くてホントよかった。
後で聞いた話では、ピッチには他にも小石や氷が投げ込まれていたみたいですね…。

ここはイラン、何が起こってもおかしくありません…(汗)。
  世界と戦う川崎代表

度重なるトラブルにもめげず、喉を枯らしながらも懸命に応援を繰り広げるフロンターレサポーター。

目前ではまさに俺たちの代表が世界と戦っている!
なんだろう、この幸せな気持ちは!?

この感情、これ以上言葉でうまく表現できません…。
  0−0

試合は結局スコアレスドロー。
勝利することは出来なかったけど、アウェイで次に繋がる最低限の結果を残せたことは大きい!

サポーターも逆境に負けずよく頑張ったよ。
しっかし、喉がカラカラ…。
  今度は出られません

試合後、まだスタジアム周辺にイラン人サポーターが溢れていて危険な状態だとの連絡が入り、フロンターレサポーターはスタジアム内にしばらく待機することに

すっかり照明の落ちた薄暗いスタンドで、不安げに解放の時を待つフロンターレサポーター。

軟禁状態からようやく解放されたのは、それから数十分後。みんな無事でなにより。
  さぁ、川崎へ帰ろう

なにはともあれ、決戦の第一幕はこれにて終了。
選手もサポーターもスタッフも、みんなお疲れ様!

次の第2戦はホーム・等々力での試合。
俺たちの最高の後押しでフロンターレを勝利に導こうぜ!目指すはアジアのクラブチャンピオンだ!
  夜のエマーム広場

無事にイスファハン市街地まで帰還。
激戦の余韻もそのままに、夜のエマーム広場に繰り出した一行が見たものは、もう夜更けだというのに自由奔放に遊びまわるイランの若者たち。

我々を見るや近寄ってきて「カワサキ、カワサキ」とフレンドリーに話しかけてくるやつも。今夜の試合結果もみんな知ってるみたいですね。

意外にも(失礼)、寺田周平選手が人気!?
  サッカーは世界の共通言語です

こちらでは公園の石畳の上でサッカーに興じる若者たち。

さっそく俺たちも仲間に入れてもらおう
サッカーのルールは万国共通。言葉が通じなくたって、この楽しさは共有できるんです!

こうしてイスファハンの夜は更けていきました…。
  翌日

いよいよイラン滞在の最終日。
一行は川崎で待つ仲間へのお土産を探しに再び街へ。

「よーし、絨毯を買いに行こうぜ!」
リアル紙幣の札束を握ったテンメイさん、ヤル気満々です。

そんなこんなで、みんな思い思いのショッピングを楽しんでいました。
  そして帰国の途へ

イスファハンからバスに揺られること再び5時間。どこまでも続く荒涼とした大地を車窓から眺めつつ、一行はエマーム・ホメイニ国際空港へ。

今回の遠征では、イラン滞在2日間という短い期間でしたが、テレビや新聞では伝わらないイランという国のいろいろな素顔を知ることができたような気がします。

さらばイラン。
  無事帰国

途中、ネムオ氏が航空券を紛失するというハプニングに見舞われましたが、一行はテヘランからドバイ、関空と飛行機を乗り継ぎ、全員無事に帰国しました。

皆さん、ホントお疲れ様でした。


川崎を世界にアピール!

今回のイラン遠征では、我々サポーターには試合の応援以外にもう1つの大事な目的がありました。
それは我がフロンターレのホームタウンである川崎市のイメージアップと都市ブランド向上の第一歩として、
「この川崎市を世界中の多くの人達に知ってもらう」ことです。

そのためには川崎市は日本のどこにあるのかをまず知ってもらうことが何よりも重要。
そこでサポーターが製作したのが、このオリジナルステッカー。

川崎ステッカー

外国人の目を引く漢字や絵柄とともに、
言葉や文字が通じなくとも川崎市の位置が一目瞭然に分かるよう、
日本列島と川崎市のシルエット図柄を組み合わせました。

…我々が訪れる先々でお世話になる人たちにこのステッカーをプレゼントすることで、
「俺たちのホームタウン川崎市はここだぜ!」ということをアピールし、
1人でも多くの人々に川崎市に興味を持ってもらおう…

こうして我々サポーターは、このオリジナルステッカーを十分な数だけ用意して、
今回のイラン遠征に臨んだのでした。
  手始めにドバイにて

ラマダン中にもかかわらず、我々に飲食場所を提供してくれたレストランにお礼を兼ねてペタリ。

ドバイの観光客の皆さん、お食事はこちらのレストランへ!
  イスファハンホテルにて

お世話になったホテルのポーターさんにプレゼント。
彼もまたセパハンを応援するサポーターとのことで、反対にセパハン選手のポストカードを頂いてしまいました。

どうもありがとう!
  エマーム広場にて

広場で談笑する警備担当の軍人さん。
ステッカーをプレゼントすると、仕事そっちのけで今夜のサッカーの話でもちきりになってしまいました。

あのー、ちゃんと仕事してくださいね…。
  テレビ取材でも

イラン国営テレビ(?)でも川崎をアピール!

それにしても、イランの人たちはみんなおおらか。
バザールの店主にステッカーをプレゼントすると、みんな「そこに貼っておいてくれよ」と言ってくれます。
  そしてスタジアムでも

緊張感が漂うキックオフ直前のスタジアム。
ピリピリムード全開の警官たちにも、このステッカーで和んでもらおう

「端っこが折れてるから新しいの寄こせ」
この警官、結構几帳面な人ですね…(笑)。
  偉い人たちにも

メインスタンド前で談笑する背広姿のおじさん達。
仰々しいIDカードをぶら下げていることから察するに、AFC関係者?それともセパハンのフロントかな?

とりあえず偉い人っぽかったので、すかさずステッカーをプレゼント。
  選手にも

「これ、今日のためにわざわざ作ったんですか?」
ケンゴはステッカーを見て苦笑い。

さっそくベンチに貼る我那覇。
そこは関塚監督が立つところだからテレビに映るぞ(笑)。
  空港の売店にて

セパハンを応援していたという店主。

「日本人サポーターに売るものはない!」
…なんて頑固オヤジぶっておきながら、ステッカーを貼ることはあっさりと許してしまうツンデレオヤジでした。

アジアチャンピオンズリーグでの川崎フロンターレの快進撃により、
世界中の多くの人たちに知られるようになった我々のホームタウン・川崎市。

今回のイラン遠征でも選手とサポーターの活躍とともに、
イランの人たちにも「川崎」がしっかり浸透しましたよ!
この企画、大成功です!



イラン遠征2007

2007年9月19日 フーラド・シャハール・スタジアムにて


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